TOEICの文法:やらなくても大丈夫か、何問出るか、参考書と頻出項目
概要
TOEICで文法問題が点数を左右するのは、Part 5の短文穴埋め問題30問とPart 6の長文穴埋め問題16問、合わせて200問中46問です。Part 7の読解54問は文法問題ではありません。文法対策をどこまでやるかは、リーディングセクションで何点を取りたいかで決まります。このページでは出題数、参考書の選び方、頻出文法項目の順に扱います。
TOEICの文法はやらなくても大丈夫ですか?
大丈夫かどうかは、目標スコアがリスニングだけで届く範囲かどうかで決まります。
文法問題が集中しているのは、Part 5の短文穴埋め問題とPart 6の長文穴埋め問題、合わせて46問です。200問の23%、リーディングセクション100問のうちの46問にあたります。TOEIC L&Rは合計で約2時間・200問、内訳はリスニングセクションが約45分間・100問、リーディングセクションが75分間・100問です。この46問を最初から捨てると、リーディングの半分弱を運任せにすることになります。
効き方はもう一つあります。Part 5で時間を使うほど、Part 7の読解54問に回せる時間が減ります。文法の精度は、正解数だけでなく残り時間にも直結します。
誤答による減点はありません。時間が足りずに迷った問題でも、空欄にせずどれか1つをマークしてください。
文法をやらない選択が成り立つのは、リスニング側で取り切れる人だけです。2026年9月3日時点で公表されていた回の平均は、リスニング331.8点に対してリーディング266.3点でした。平均で見ると、リーディングのほうが約65点低い側です。苦手意識が残りやすいのも、たいていこちら側です。
文法問題はどのPartに何問出ますか?
文法が点数を左右するのは、リーディングセクションのうちPart 5とPart 6の46問です。
次の表は、リーディングセクション100問の内訳と、それぞれに文法がどう関わるかを整理したものです。
| パート | 公式名称 | 問題数 | 文法の関わり方 |
|---|---|---|---|
| Part 5 | 短文穴埋め問題 | 30問 | 文法問題と語彙問題が混在し、文法の比重がいちばん大きい |
| Part 6 | 長文穴埋め問題 | 16問 | 文法に加えて、文脈で選ぶ問題と文挿入問題が混ざる |
| Part 7 | 読解 | 54問 | 文法問題ではない。読む速さと情報の探し方で決まる |
出題形式は毎回同じで、設問も選択肢もすべて英文です。英文和訳や和文英訳の設問はありません。つまり文法の知識は、日本語に訳す力ではなく、英文のまま形を判断する力として問われます。
TOEICの文法参考書はどう選べばいいですか?
公式教材には、Part 5とPart 6だけを扱った文法書がありません。IIBCが公開している公式教材のラインアップ(2026年9月3日時点)で、パート別に出ているのはPart 3 & 4とPart 7だけです。ほかはスコア帯別の500+・650+・800+と、技能別のリスニング編・リーディング編になります。文法対策だけが市販書に頼る形になっているのは、この空白があるからです。
市場で名前が挙がるのは次の4冊です。上の3冊はいずれも市販の第三者出版物で、ETSやIIBCの公式教材ではありません。
- 『TOEIC L&R TEST 文法問題 でる1000問』(TEX加藤著)。Part 5とPart 6の問題を1,000問超集めた市販ドリルで、問題演習の量で選ぶ人が最初に挙げます
- 『1駅1題 新TOEIC TEST 文法特急』。特急シリーズの文法編で、移動中などの短い単位で回す前提の薄い1冊です
- 「千本ノック」シリーズ。1日数問の反復を前提にした市販の問題演習書で、続けやすさを優先する人向けです
- 『公式TOEIC Listening & Reading 問題集』(最新は12、2025年10月発売)。ETSが本番と同じ工程で作成した公式問題集で、文法専用ではなく200問の通し教材です
選び方の基準は3つに絞れます。解説の厚さより問題数で選ぶこと、品詞問題の解き方が書いてあること、答え合わせを1問ずつではなく項目ごとにまとめてできる作りであることです。
当サイトはこれらの本を販売していません。リンクも紹介料もありません。
TOEICではどの文法項目が出ますか?
出題される文法項目は約10項目で、範囲は閉じています。順番に潰していけば終わる、という点がほかの領域と違います。
下の表は、その頻出文法項目を出題の比重が大きい順に並べたものです。
| 文法項目 | Part 5での比重 | 学習の優先度 |
|---|---|---|
| 品詞・語形 | 単独で最多 | 1。意味を読まずに解ける |
| 主語と動詞の一致 | 品詞と合わせて約半分 | 1。罠の型が繰り返される |
| 時制 | 毎回出る | 2。時間あたりの伸びが大きい |
| 前置詞・接続詞・つなぎ言葉 | Part 5から7に分散 | 2。3つのパートで効く |
| 冠詞と数量詞 | 安定して出る | 3。いちばん早く直せる |
| 動名詞と不定詞 | 安定して出る | 3。暗記で片づく |
| 態(能動と受動) | 安定して出る | 3。判断が1回で済む |
| 名詞の可算・不可算と複合名詞 | 冠詞・数量詞に混ざる | 4。冠詞と同時に覚える |
| 助動詞と仮定法 | 小さめ | 4。状況を読んでから |
| 比較級と最上級 | 小さいが毎回 | 5。型が少ない |
品詞問題と主語と動詞の一致の2つでPart 5の約半分が決まる、という点を除けば、この順位は公表された集計ではありません。出題の傾向から引いた目安です。文法知識のうちどこから手をつけるかを決めるための並びで、語彙問題はこの表の外にあります。
品詞問題はなぜ最優先なのですか?
品詞問題は、意味を読まずに解ける唯一のタイプだからです。Part 5の文法問題のなかで数もいちばん多くなります。
手順は3つです。空所の前後2語から3語だけを見ます。その位置がどの品詞を求めているかを決めます。語尾がその位置に合う選択肢を選びます。
この作業が品詞判別で、英文の内容を理解する必要はありません。判断の手がかりは語尾です。次の4つを覚えておくと、空所の位置から選択肢を絞れます。
- 名詞は -tion, -ment, -ness, -ity, -ance。the の直後や形容詞の後ろにある空所は、この形を求めています
- 形容詞は -able, -ive, -ous, -ful, -al。名詞の前か、be動詞などの後ろに置かれます
- 副詞は -ly。動詞、形容詞、文全体のいずれかにかかる位置の空所で選びます
- 動詞は -ise, -ate, -en, -ify。文中にほかに述語動詞がなければ、空所は動詞の位置です
同じ1問でも、空所の位置を3秒で決める受験者と、文を訳してから選ぶ受験者とでは、かかる時間が数倍違います。Part 5で先に消えていくのは、この差の積み重ねです。
主語と動詞の一致では何が狙われますか?
狙われるのは、主語と動詞のあいだに語句を挟んで、いちばん近い名詞と本当の主語を食い違わせる型です。
具体例が一つあれば足ります。The list of approved suppliers has been updated という文で、直前にある suppliers は挟まった語句の一部にすぎません。動詞の形を決めているのは list のほうです。have を選ばせるためだけに suppliers が置かれています。
繰り返し出る型は5つです。
- 主語と動詞のあいだに前置詞句が挟まる。挟まった句を消せば、動詞の形はすぐ決まります
- 集合名詞は単数扱い。the committee, the staff, the board はいずれも単数の動詞を取ります
- each, every, either は単数。Each of the managers reports が正しく、report にはなりません
- along with や as well as で足された主語。動詞は最初の主語に合わせます
- there is と there are。there の直後に来る最初の名詞が動詞の形を決めます
この5つは、選択肢の見た目を変えただけの同じ文法問題として出てきます。文法知識としては狭く、頻出文法項目のなかでも時間あたりの見返りが大きい部分です。
時制はどうやって見分けますか?
時制の文法問題は、文中の時を表す語が答えを決めます。話の流れを想像して選ぶ問題ではありません。
目印になる語は時制ごとに決まっていて、対応は次の表のとおりです。
| 時制 | 目印になる語 | 判断 |
|---|---|---|
| 現在形 | usually, every quarter | 習慣や定例の業務 |
| 現在進行形 | at the moment, this week | いま進んでいる作業 |
| 過去形 | last quarter, in 2019 | 終わった時点の出来事 |
| 現在完了 | since 2019, so far, already | 過去から現在までの継続 |
| 現在完了進行形 | for six months, over the past year | 期間を伴う継続 |
| 過去完了 | by the time, before | 過去のある時点より前 |
| 未来形 | next Friday, tomorrow | これから起きること |
| 未来完了 | by next Friday, by December | 未来のある時点までの完了 |
取りこぼしが集中するのは完了形です。since や for six months は期間を表す目印なので、点で考えると過去形が正しく見えてしまいます。頻出文法項目のなかでは、時制がいちばん目安を作りやすい項目です。
残りの頻出項目では何が問われますか?
残りの項目は、どれも意味ではなく形で決まります。判断の基準だけ押さえれば足ります。
- 前置詞・接続詞・つなぎ言葉。Part 5からPart 7までにまたがります。although は節を、despite は名詞句を取るという違いが定番で、前置詞は理屈ではなく組み合わせで覚えます
- 冠詞と数量詞。名詞が可算か不可算か、単数か複数かで機械的に絞ります。many delays と much delay はどちらも正しく、決めているのは名詞のほうです
- 動名詞と不定詞。空所の前の語が形を決めます。avoid は動名詞、decide は不定詞を取り、前置詞の後ろは必ず -ing です
- 態。主語が動作をするのか、されるのかを一度だけ問えば済みます。ビジネス文書は行為者を書かないので、受動態が多くなります
- 比較級と最上級。more easier のような二重比較、than と then の取り違え、good, better, best のような不規則形の3つが繰り返し出ます
この5項目は、頻出文法項目の表の下半分にあたります。語彙問題と違って覚える語数が増え続けることはないので、文法問題としては先に終わらせられます。選択肢を見る前に、何で決まる項目かを言えるようにしておくのが目標です。
文法が苦手な人は何から始めればいいですか?
参考書の1ページ目からではなく、時間を計った30問を先に解いて、どの項目で落としているかを確かめるところからです。
苦手意識の正体は、たいてい範囲の広さです。実際に問われるのは約10項目に閉じていて、そのうち上位2項目でPart 5の約半分が決まります。範囲を先に見ると、量の問題ではなく順番の問題だと分かります。
中学英語の文構造が抜けている場合は、TOEIC向けの文法書より先にそこを埋めたほうが速く進みます。主語と動詞を取り違えるのは、TOEIC特有の難しさではありません。
手順にすると5段階です。
- 時間を計って混在した30問を解き、落とした問題を項目ごとに仕分けます
- いちばん落ちている1項目だけを、10問単位の短い問題演習で回します
- 間違いは1問ずつではなく項目ごとにまとめて見直します。エラーノートも項目別に作ります
- その項目を混在セットに戻し、ほかの項目に混ざっても見分けられるかを確かめます
- Part 5とPart 6の46問を通しで解き、リーディングに残る時間を実際に測ります
時間を計らない演習では正答率が上がったように見えるのに、時計を置いた瞬間に同じセットで4問から5問落ちる、という差がよく出ます。文法対策の効果は、時間配分と切り離しては測れません。
文法対策はスコアにどうつながりますか?
文法は2回スコアに効きます。46問を直接取ることと、Part 5を速く抜けて読解54問に時間を残すことです。
ただし上限もはっきりしています。46問しかないので、文法を完璧にしてもリーディングのスコアには天井があり、リスニングセクションの100問には一切届きません。
採点は素点ではなく、スコアの同一化(Equating)による換算点です。5点刻みで、合否はありません。だから「文法で何点」という計算は、受験者の側からはできません。
代わりに使えるのが、公式認定証に載るAbilities Measured(項目別正答率)です。項目別の正答率が出るので、文法対策が効いたかどうかを体感ではなく数字で確かめられます。スコアアップの手応えを目安として持つには、これがいちばん近い公式の材料です。
文法を固めると何点くらいまで届きますか?
文法だけで届く範囲は、リーディングセクションの中に限られます。2026年9月3日時点で公表されていた回の平均スコアは、トータル598.1点(リスニング331.8点、リーディング266.3点)でした。同じ回で795点以上は上位14%にあたります。
文法を固めて得られるスコアアップは、この266.3点という平均の内側で起きます。何点から「すごい」かは提出先によって変わるので、スコアの目安のほうで帯ごとに整理しています。
Part 5の解き方はどこで練習できますか?
解き方そのもの、つまり1問にかける秒数、選択肢の絞り方、30問の並び方は、Part 5の解き方のページにまとめてあります。このページが扱うのは文法の中身で、リンク先が扱うのは問題タイプと時計です。
短文穴埋め問題には、品詞問題を中心に、全文を読まなくても解ける問題が一定数あります。問題演習では、その見極めから練習します。
リーディング全体の時間配分はどうなりますか?
リーディングセクションは75分間・100問で、パートごとの時間はIIBCが指定していません。配分を決めるのは受験者のほうです。Part 5とPart 6を何分で抜けるかが、そのまま読解54問に残る時間になります。パート別の配り方はリーディングの時間配分で扱っています。
文法は勉強計画のどこに置けばいいですか?
文法対策は範囲が閉じている数少ない領域なので、学習スケジュールの前半に置いて終わらせるのが向いています。語彙とリスニングには終わりがなく、やめどきを自分で決めることになります。
先に終わる領域を先に片づけると、スコアアップの余地が残っている領域に後半の時間を回せます。全体の組み立てはTOEICの勉強法にまとめました。
文法だけ進めて、模試は後回しでも大丈夫ですか?
いいえ、項目を見分ける力が測れないままになります。1項目ずつ解いているあいだは、どの項目の問題かが分かった状態で解いているので、本番形式より易しくなります。
混在した状態で見分けられるかどうかは、通しの問題演習でしか確かめられません。なお当サイトの問題は、公開されている出題形式にならってTOEIC.aiチームが作成したもので、ETSの公式の過去問ではありません。無料の模擬試験で46問の通し演習ができます。
よくある質問
TOEICで文法は必要ですか?
必要です。Part 5の30問とPart 6の16問、合わせて46問が文法と語彙で決まります。ただし200問中46問なので、文法だけで高得点になることはありません。
TOEICではどの文法項目が出ますか?
頻出文法項目は約10です。品詞、主語と動詞の一致、時制、前置詞と接続詞、冠詞と数量詞、動名詞と不定詞、態、名詞の可算と不可算、助動詞と仮定法、比較級と最上級で、範囲は毎回ほぼ同じです。
600点を取るには文法をどこまで固めればいいですか?
IIBCは項目別の配点を公表しておらず、スコアも素点ではなく換算点なので、「文法で何点」という計算はできません。公式認定証のAbilities Measured(項目別正答率)で、自分の到達度を回ごとに確認するのが現実的です。
でる1000問と公式問題集はどちらを先にやるべきですか?
役割が違います。でる1000問はPart 5とPart 6だけを集めた市販のドリル、公式問題集はETSが本番と同じ工程で作った200問の通し教材です。文法が不安なら市販ドリルで型を作り、仕上げに公式問題集を使う順番が噛み合います。
Part 5は1問何秒で解けばいいですか?
IIBCはパートごとの時間を指定していません。リーディングは75分間で100問なので、Part 5を1問20秒前後で抜けると読解54問に時間を残せます。秒数の作り方はPart 5のページで詳しく扱っています。
文法問題で迷ったら空欄のままにすべきですか?
いいえ。誤答による減点はないので、迷った問題でも必ずどれか1つをマークしてください。空欄にすると、当たる可能性だけを捨てることになります。
文法だけを勉強すればスコアは上がりますか?
46問分は上がります。ただしリスニングセクションの100問には届かないため、トータルの伸びは頭打ちになります。文法を先に終わらせて、残った時間をリスニングと読解に回すのが効率的です。