TOEICとOPIcの違い:形式・スコア・換算の有無と、日本で必要になる場面
概要
TOEIC Listening & Readingが測るのは聞く力と読む力、OPIcが測るのは話す力だけです。2つは互いの代わりにならず、一方の結果をもう一方に換算する公式の表もありません。 日本の求人票がOPIcを名指しすることはほとんどなく、このページが役に立つのは韓国系企業への応募、韓国への赴任、韓国企業の採用プロセスの3つの場面です。日本で話す力の証拠を求められたときに名前が挙がるのは、TOEIC Speaking & Writingのほうです。
TOEICはどんなテストですか
求人票が「TOEIC」と書くとき、指しているのはほぼ必ずTOEIC Listening & Reading(TOEIC L&R)です。約2時間・200問のマークシート方式の一斉客観テストで、スコアは10〜990点で返ります。
内訳は、リスニングセクションが約45分間・100問、リーディングセクションが75分間・100問です。スコアは5点刻みで、合否はつきません。
このテストが測るのは理解で、話す設問も書く設問も1問もありません。この比較の出発点はそこにあります。
話す・書く力はTOEIC Speaking & Writing(TOEIC S&W)という別のテストで測り、申し込みも別です。スピーキングは0〜200点にレベル1〜8が添えられて返ります。
日本で実施しているのは一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)です。2024年度の受験者数は、公開テストが735,425人、団体特別受験制度(IPテスト)が1,041,495人でした。
OPIcとはどんなテストですか
OPIcは、パソコンに向かって話し、その録音を評価者が判定する口頭能力のテストです。作成しているのはETSでもIIBCでもなく、ACTFLという米国の言語教育団体です。1回の受験時間は20〜40分です。
設問の作られ方に特徴があります。受験前に答える背景アンケートと自己評価の内容から出題が組み立てられるので、受ける人ごとに設問が違います。
採点は、認定を受けた評価者が録音を全体として聞いて判定する形です。返ってくるのはレベルだけで、単項の内訳はありません。低い順にNL、NM、NH、IL、IM、IH、ALです。
公式の練習問題は出ていません。準備した答えではなく、その場の話し方を見るためのテストだからだと説明されています。
そして、このテストの市場は韓国に大きく偏っています。韓国の採用では、TOEICのスコアと、それとは別の口頭能力の等級の両方を求められることが多く、その等級としてよく使われるのがOPIcです。日本の求人票には、ほとんど出てきません。
TOEICとOPIcは形式が何が違いますか
違うのは測る技能だけではありません。答え方そのものが違います。 TOEIC L&Rは全員に同じ問題が配られる約2時間のマークシート方式、OPIcは自分の申告から組み立てられた設問に20〜40分話す形式です。
この差は準備の仕方に直結します。決まった出題形式のテストは、同じ型を繰り返し解くことが効きます。設問が自分の回答から作られるテストでは、自分の仕事や生活について話せる材料があるかどうかで結果が変わります。
TOEIC S&Wのスピーキングは、その中間にあります。話す形式ですが、課題の型は毎回同じなので、家で練習できます。
3つを並べると、違いは6つの行に収まります。
| 項目 | TOEIC L&R | TOEIC S&W(スピーキング) | OPIc |
|---|---|---|---|
| 測る技能 | 聞く・読む | 話す | 話す |
| 解答の仕方 | マークシート | マイクに録音 | マイクに録音 |
| 問題の作られ方 | 全員同じ固定の形式 | 課題の型は毎回同じ | 事前の回答から組み立て |
| 長さ | 約2時間 | 1回の録音セッション | 20〜40分 |
| 返るもの | 10〜990点 | 0〜200点とレベル1〜8 | 等級のみ(NL〜AL) |
| 有効期間の扱い | ETSが2年と設定 | 同じく2年 | 採用側は2年で見るのが一般的 |
スコアはどう返ってきますか
TOEICは数字で返り、OPIcは等級で返ります。 この差が、次の節の「換算できるか」の答えをそのまま決めています。
TOEIC L&Rはリスニング5〜495点とリーディング5〜495点で、合計10〜990点です。正解数をそのまま点にするのではなく、回ごとの難易度を調整した換算点が返ります。同じ正解数でも、回によって数点ずれるのはそのためです。
OPIcには単項の内訳がありません。評価者が全体として付けた1つの等級だけが返ります。
TOEIC S&Wのスピーキングは0〜200点で、レベル1〜8が添えられます。数字で見たい採用側にも、帯で読みたい採用側にも渡せる形です。
3つの結果は、採用担当者に別々の種類の証拠を渡します。
- TOEIC L&R:10〜990点。5点刻みの換算点なので、勉強の成果を数字で追えます
- TOEIC S&W:スピーキング0〜200点とレベル1〜8。数字と帯の両方が読み取れます
- OPIc:NLからALまでの等級のみ。内訳はなく、全体評価の結果が1つ返ります
10〜990点が実際にどのくらいの英語力を指すのかは、TOEICスコアの目安で扱っています。
TOEICとOPIcはどちらが簡単ですか
一般的な答えはありません。測っている技能が違うので、どちらが簡単かは受ける人の型で決まります。 目安になるのは、自分の苦手分野が聞く・読む側にあるのか、話す側にあるのかです。
決まった出題形式を繰り返し解けるかどうかも、同じくらい結果を左右します。読む処理が速くて話すのが苦手な人にとっては、TOEIC L&Rのほうがスコアを上げやすいテストです。その場で話すのが苦にならず、文法の細部が不安定な人にとっては、OPIcのほうが等級を取りやすくなります。評価者が見るのは録音の全体だからです。
公平な比較が成り立つのは、TOEIC S&WとOPIcの間だけです。
自分がどれに当てはまるかで、先に受けるテストが決まります。
- 読むのは速いが話すのは苦手:先にTOEIC L&R。演習量がそのまま数字に返ってきます
- その場で話すのは平気、文法の細部が不安:OPIcのほうが等級を取りやすくなります
- 型どおりに準備したい:課題の型が固定のTOEIC S&W。家で通しの練習ができます
- 時間がなく語彙の下地はある:先にTOEIC L&R。数字のほうが等級より早く動きます
OPIcのレベルはTOEICのスコアに換算できますか
できません。 とくにTOEIC Listening & Readingへの換算は、原理的に成り立ちません。片方は話す力を測り、もう片方は一度も話させないからです。
研究としての対応づけなら存在します。ETSの研究報告RM-19-02(2019年)が、両方を受けた韓国の受験者1,019人のデータで、OPIcの等級とTOEIC S&Wのスピーキングスコアを対応づけました。
ただし、その報告自身が留保をつけています。設計と測定範囲が違うため、両者のスコアは互換とみなすべきではないという書き方です。OPIcを提供する側からも反論が出ていて、両者の相関は中程度にとどまると報告されています。
対応表そのものは、このページに載せません。この報告の表は請求しないと読めない形で公開されていて、本稿では数値を確認できていないからです。確認できていない数字で表を作っても、目安にすらなりません。それは推定であって、換算ではないからです。
実務上の意味は単純です。求人票がOPIcを指定しているならOPIcを受け、TOEIC S&Wを指定しているならTOEIC S&Wを受けます。片方の結果をもう片方の代わりに出しても、書類の段階で通りません。
他の試験との関係が気になる場合は、TOEICとTOEFLの比較とTOEICとIELTSの比較を用意しています。
就職や転職ではどちらが必要ですか
求人票が名前を書いているほうです。 日本の求人票がOPIcを名指しすることはほとんどなく、話す力の証拠を求める企業が挙げるのはTOEIC S&Wのほうです。
韓国の採用は形が違います。TOEICのスコアと、独立した口頭能力の等級の両方を求めることが多く、その等級としてよく使われるのがOPIcです。数字は応募者を絞る足切りに、等級は英語で仕事ができる証拠として読まれます。
日本で提出を求められるのはTOEIC L&Rのスコアであることが多く、履歴書に書く英語の資格もそこに集まります。転職でも、応募条件に書かれる数字はこちらです。
期限は先に決まっています。TOEICのスコアはETSが有効期限を2年と設定しているので、応募の締切から逆算して受験日を決めることになります。
市場ごとに、求められるものの形が違います。
| 市場 | 求人でよく求められるもの |
|---|---|
| 日本 | TOEIC L&R。話す力の証拠が要る場合はTOEIC S&W。OPIcはほとんど出てこない |
| 韓国 | TOEIC L&Rのスコアと、独立した口頭能力の等級(OPIcが多い) |
申し込む前に、求人票から次の4点を読み取ってください。
- どのテストを名指ししているか。「英語力」とだけ書かれていても何も決まりません
- 最低スコアまたは最低等級。700点の足切りとIHの足切りでは必要な月数が違います
- いつまでの結果が有効か。大企業は2年を超えた結果を受け付けないことが多くあります
- 話す力の証拠が必須か任意か。ここで2つ目を受けるかどうかが決まります
どちらを先に準備すればいいですか
先にTOEIC Listening & Readingのスコアを作り、話すテストは後から足します。 逆の順番は、時間と受験料の両方を余分に使います。
理由は仕組みの側にあります。聞く・読むは頻出語彙と設問の型の繰り返しに反応するので、数字が先に動きます。そこで覚えた語彙は、どちらの話すテストを受けるにしても土台として残ります。
日本にいる読者にとっては、2つ目が必要になること自体がまれです。応募先が韓国系企業か、韓国での採用に関わる場合に限られます。どこまで作ってから足すかの目安は、求人票が書いている目標スコアです。
このあとの4つで、何点まで作ってから足すか、結果は何年有効か、スコアはどう上げるか、韓国以外でも求められるかを順に扱います。
話すテストを足す前に、TOEICで何点取っておくべきですか
求人票が書いている数字までです。共通の合格ラインは存在しないので、目標スコアは応募先の要求から決めます。
採用側は、先に聞く・読むのスコアで候補を絞ってから話す力を見ます。そこに届いていない段階で2つ目を受けても、効きにくいということです。
位置を測る材料はあります。IIBCが公表している直近回の平均スコアは、総合598.1、リスニング331.8、リーディング266.3でした。自分の点がこの平均のどちら側にあるかは、目安として使えます。
OPIcの結果もTOEICと同じ2年間有効ですか
TOEICのスコアは、ETSが有効期限を2年と設定しています。 OPIcの等級も、採用の場では2年を超えたものを受け付けないのが一般的です。
順番の組み方に効いてきます。2つ受けるなら、両方が有効なうちに応募の締切が来るように並べます。先に受けたほうが失効に近づくと、もう一度受け直すことになります。
書類の側にも同じ期限があります。公式認定証の再発行ができるのは試験日から2年以内で、それを過ぎると再発行そのものができません。
TOEICのスコアはどうやって上げますか
最初にやることは、時間を計ったフル模試を1回受けることです。リスニングとリーディングのどちらが遅れているかを数字で見てから、時間配分と勉強の配分を決めます。
日本の平均が、その見方を裏づけます。IIBCの直近回の平均は総合598.1で、リスニング331.8に対しリーディングは266.3でした。リーディングのほうが約65点低く、多くの人にとってスコアアップの余地が大きいのは、時間切れで落としている側です。
1か月で何点上がるかという数字は、日本向けの根拠を確認できなかったので載せません。無料の模擬試験で現在地を測り、TOEICの勉強法で配分を決めるほうが確実です。
韓国以外の企業でもOPIcを求められますか
ほとんどありません。 OPIcは韓国の採用市場に集中したテストで、日本の求人票にはほぼ出てきません。
日本で話す力の証拠が必要になったとき、企業が名前を挙げるのはTOEIC S&Wのほうです。日本の読者がOPIcという名前に出会うのは、韓国系企業への応募、韓国への赴任、韓国企業の採用プロセスの3つの場面にほぼ限られます。
市場が変わっても変わらない指示が1つあります。求人票に書かれているテストを受けることです。
よくある質問
TOEICとOPIcは何が違いますか
測る技能が違います。TOEIC Listening & Readingは聞く・読むを約2時間・200問で測って10〜990点で返し、OPIcは話す力だけを20〜40分で測ってNLからALまでの等級で返します。
OPIcのレベルはTOEICのスコアに換算できますか
できません。公式の換算表は存在せず、TOEIC Listening & Readingへの換算は原理的にも成り立ちません。ETSの研究報告RM-19-02(2019年)がTOEIC S&Wのスピーキングとの対応づけを試みていますが、報告自身が互換とみなすべきではないと書いています。
日本の就職でOPIcは必要ですか
ほとんど必要ありません。日本の求人票がOPIcを名指しすることはまれで、提出を求められるのはTOEIC L&Rのスコアであることが多いです。必要になるのは、韓国系企業への応募や韓国での採用に関わる場面です。
TOEICとOPIcはどちらが簡単ですか
一般的な答えはありません。読む処理が速い人にはTOEIC L&Rのほうがスコアを上げやすく、その場で話すのが苦にならない人にはOPIcのほうが等級を取りやすくなります。
OPIcの結果もTOEICと同じ2年間有効ですか
TOEICのスコアはETSが有効期限を2年と設定しています。OPIcの等級も、採用の場では2年を超えたものを受け付けないのが一般的です。2つ受けるなら、両方が有効なうちに応募の締切が来るように順番を組みます。
韓国系企業に応募するとき、どちらを先に受けるべきですか
先にTOEIC Listening & Readingです。聞く・読むのスコアのほうが早く動き、そこで覚えた語彙は話すテストの土台になります。求人票が口頭能力の等級も求めている場合に、2つ目を足します。